導入事例

横浜国立大学様(藤野陽三教授)

長大橋を対象とした地震モニタリングの実証実験

橋梁のようなインフラ構造物の地震時の振動を計測することで構造物の損傷メカニズムを解明し、補強方法・設計方法に還元していくための実証実験にsonas x01が採用されました。

01. 導入前の課題

構造物の損傷メカニズム解明のため地震モニタリングが必要

日本では、近年の東日本大震災、熊本地震などをはじめ、数多くの大地震を経験し、今後も地震のリスクにさらされています。大地震による被害を低減していくためには、発生した地震を計測し、構造物が損傷したメカニズムを解明し、構造物の補強方法や設計方針を洗練させていくというプロセスが必要となります。そこで注目されているのが、地震時の構造物の挙動を計測しデータを蓄積・分析していく「地震モニタリング」です。

横浜国立大学の藤野陽三・上席特別教授は、橋梁全般を専門とする土木分野の第一人者であり、構造物モニタリングについても1990年代後半から研究を進められてきました。UNISONetの潜在能力にも早くから着目してくださり、UNISONetが土木へ貢献可能な点等、数年に渡り議論を進めてまいりました。

今回、藤野教授に、新那珂川大橋(橋長約530m)および隣接する勝田高架橋(橋長約200m)を一括して対象とする地震モニタリングに、sonas x01をご採用いただきました。新那珂川大橋では、2011年の東日本大震災で、地震応答によるゴム支承の損傷が発生しています。

大規模地震時の複雑な挙動の把握と応答解析技術の精緻化のために、斜張橋である新那珂川大橋と一般的な構造である勝田高架橋および周辺地盤に対して、sonas x01を試行導入しました。

02. 選定の理由

電源のない屋外で常時モニタリングを実現する省電力性がポイントに

地震モニタリングでは、構造物ヘルスモニタリングで一般的に必要となる時刻同期やロスレスデータ収集に加えて(軍艦島モニタリング を参照)、消費電力面での制約が非常に強くなります。いつ発生するか分からない地震を捉えるためには、モニタリングを常時継続する必要があるためです。地震発生を検知して計測するのでは、地震発生直後の貴重なデータを取り逃してしまうことになります。比較的強い地震を取得するためには、常時計測を行いつつも、バッテリで年単位の連続計測を実現することが求められます。

また、今回のモニタリングシステムの構築においては、固定電源が利用できる場所が1箇所もないため、親機やインターネット接続を行うノードも含めて、全ノードが電池駆動可能であること、および地震発生時の加速度データを現地に行かずに確認できるデータアップロード機能を有することをも要求としました。 このような、一般のセンサネットワーク技術では困難される要求を、特殊な実装や設定を追加で行うことなく、sonas x01で実現することができました。具体的には、下記のような性能・特徴を確認しています。