導入・協業事例
ヤマタネ・構造計画研究所との3社共創:既存オフィスビルのBCP強化に向けた、後付け可能な計測システムによる「地震時損傷度評価ソリューション」
地震時の建物損傷度評価における「低コスト&レトロフィット」な振動計測システムとして、Sonas x04を導入いただきました。
01. プロジェクトの背景と対象構造物
対象構造物: ヤマタネ様が所有・管理する既存オフィスビル
プロジェクトの目的: 既存不動産に対する後付けでのBCP(事業継続計画)強化と、新しい損傷度評価モデルの構築
物流・食品・情報・不動産などの事業を展開するヤマタネ様は、不動産事業において、所有する既存ビルのテナントに向けた安全性向上とBCP対策の強化を重要課題と位置づけていました。
地震大国である日本では、地震発生直後の建物の安全性をいかに早く、正確に把握するかが不動産価値そのものを左右します。この課題に対し、現場を提供するヤマタネ様、構造解析の専門家として地震時建物立ち入り判定システム「KKE Orbs」を展開する構造計画研究所様、そして無線での計測技術を持つソナスの3社が連携。「既存ビルにも後付けできる、次世代のリモート損傷度評価モデル」の構築を目指した共創プロジェクトがスタートしました。
※画像:設置対象のヤマタネ様所有物件(上)、KKE Orbsイメージ図(下)
02. 従来手法の課題・ボトルネック
物理的・コスト的制約: 既存ビルへのシステム導入における、多額の導入費とテナント調整の壁
実務上の課題: 地震発生後の担当者による現地への駆けつけと、目視点検に伴う危険とタイムロス
建物の損傷度評価システム自体は以前から存在していますが、既存のビルに後から導入しようとすると、多額な導入費用が最大の障壁となります。
有線ケーブルを用いるシステムでは、各階を貫通する大規模な配線工事が必要となり、特に上層と下層で構造が分かれている建物などでは膨大なコストが発生します。さらに工事期間も長引くことから、入居中のテナントとの調整が極めて困難でした。
結果として、多くの既存ビルでは地震発生後に管理担当者が現地へ駆けつけ、危険を伴う目視点検を行わざるを得ません。さらに、属人的・定性的な評価では「本当に建物を使い続けてよいのか」という定量的な判断基準が乏しく、テナントへの安全報告や事業継続の意思決定に時間と労力を要しているのが実情でした。
03. 導入のポイントとシステム構成
設置と運用の工夫:Sonas x04による完全ワイヤレスの振動計測で、営業中テナントの無停止導入を実現
システム連携: 無線センサと構造計画研究所「KKE Orbs」のシームレスなAPI連携
この「既存ビルへの後付け(レトロフィット)」の壁を突破したのが、ソナスの完全無線式地震計です。配線工事が一切不要なため、テナントの業務を止めることなく、半日程度の工事かつ低コストでの設置を実現しました。
各階の地震計(センサユニット)で取得された振動データは、無線により建物内で一度集約され、クラウドシステムを通じて構造計画研究所様「KKE Orbs」へとシームレスに連携されます。これにより、同社の専門知識に基づく高度な建物損傷レベルの評価技術と、設置が容易な無線ハードウェアが融合した、実用性の高いパッケージシステムが完成しました。
※画像:設置した地震計(子機センサユニット)Sonas x04
04. 創出された価値・インパクト
実務面での効果:定量的なデータに基づく建物評価と、メール・WEB画面での結果共有による迅速な使用可否の判断
ビジネスインパクト: テナントへの迅速な安心提供と、既存不動産の価値向上
このソリューションの導入により、地震が発生した際、ビル管理者は現地へ駆けつけることなく、遠隔でPCやスマートフォンから建物の被害レベルと避難必要性を直ちに把握できるようになりました。
定量的なデータを元にした評価結果が判断材料となるため、地震後の建物の使用可否について、現場に専門家が不在でも迅速に意思決定を行えるようになます。これにより、管理業務の効率化だけでなく、「データに基づく高度なBCP対策が完備されたビル」という既存不動産の付加価値の創出に繋がっています。
05. 今後の展望・メッセージ
本プロジェクトは、導入障壁の高さからシステム導入を諦めていた多くの既存ビルに対して、「低コスト&レトロフィット」という新たな解決策を示すモデルケースとなりました。
今後、ヤマタネ様が所有するポートフォリオへの設置件数拡大を見据えるとともに、ソナスは構造計画研究所様をはじめとするパートナー企業との連携をさらに深め、日本の不動産・インフラのレジリエンス向上に貢献するソリューションを広げてまいります。
